釧路愛育協会では、法人研修委員会による研修会が年4回行われています。
今回の職員研修テーマは「虐待防止・権利擁護~法人の取り組みの理解を深める~」とし、法人施設の全職員を対象に、22名の職員が出席しました。
昨今、さまざまな分野での虐待のニュースを目にする機会が増えました。釧路愛育協会では、この社会問題を重く受け止め、利用者さんや職員を守るため虐待の未然防止に日々取り組んでいます。
和田敏幸理事長より開会の挨拶がなされ、前半は各施設の虐待防止責任者より施設の取り組みの発表がなされました。
高齢福祉・障がい福祉・児童福祉、それぞれの分野で、虐待を防ぐためにはどのようなことを行っているのか、具体例やエピソードを含めて発表されました。
高齢者施設を運営している長生園グループからは、虐待防止・身体拘束廃止委員会の開催、年2回の職員研修の実施、不適切ケアや虐待についてのアンケートを実施しており、チームで虐待の芽を摘む施設をめざし、自身の振り返りをする機会を定期的に設けていることなどが伝えられました。
障がい者施設を運営している鶴が丘学園からは、虐待防止委員会設置要綱の内容や責務について、またセルフチェックシートの活用や、鶴が丘学園が取り入れている「ニコリほっと」(ヒヤリハットをポジティブにしたもの)でのエピソードを交え、実際に学園で行っている取り組みを伝えていただきました。素敵な関わりが増えれば不適切な関わりが減る、という言葉がとても印象的でした。
同じく障がい者支援施設を運営しているひかり自立支援センターからは、措置制度から現在の契約制度の転換に伴う時代背景の移り変わりや、利用者さんと事業者は対等な関係であること、虐待につながる不適切な声かけの具体例などがとても分かり易く説明されました。
相手の捉え方ひとつで虐待に繋がりうるということ、それらを未然に防ぐためにも、物事をやわらかく伝えることで、行動も自然と優しくなるのでは…という言葉が印象的でした。
認定こども園を運営しているかしわ認定こども園からは、子ども1人ひとりの人権・人格を尊重する保育のため、職員間における認識共有の徹底やセルフチェックシートの活用、また職員間において「言い合える関係性」を築くことに力を入れていることなどが話されました。不適切保育について、これはどうなんだろう?ということは多々起こり得る、声があがったら都度話し合われる場を設けていることなど、子どもを守るための様々な取り組みが発表されました。
同じく認定こども園を運営しているあいこう認定こども園からは、施設での虐待が起こる背景として、職員の認識不足や職場環境が要因となるのではないかということが話されました。不適切保育は多岐に渡り、虐待がニュースで取り上げられた保育園でも独立した人格を考慮するよう理念が掲げられていたはずだと。子どもと職員を守るために、不適切な保育に関する認識を職員間で共有すること、伝えあえる・受け止め合える関係性の構築、セルフチェックシートを活用した自身の振り返りなど、様々な取り組みが伝えられました。
また、高齢福祉統括長・障がい福祉統括長・児童福祉統括長3名のアドバイザーより、各施設における虐待防止についての取り組みへのアドバイスをいただき、愛育協会が理念として掲げている「その人らしい尊厳のある暮らしの実現」へ向けて、人格を傷つけること・虐待は絶対にしてはいけないということを改めて再確認させていただきました。
後半はグループに分かれて実際にセルフチェックシートを使用した振り返りを行い、またグループワークで話し合う内容もそれぞれグループごとに決めていただきました。